元宗教2世のスクールカウンセラーが書籍を出版 学校の先生に“同じ境遇の子を助けてほしい”との思いから情報発信
officemarrysは、元宗教2世のスクールカウンセラー 伊藤まりの著書『「ちょっと気になる変わったあの子」だったスクールカウンセラーが伝えたい宗教2世支援』を2025年3月14日に発売いたします。
■概要
・著者 伊藤まりは「宗教2世」として育ち、学校行事や友達づきあいを制限された経験を持つ
・現在は信仰から脱却し、スクールカウンセラーとして活動
・社会的理解が不足するこの問題を知ってもらうため、Kindle本を出版しました
・宗教2世の実態や支援のあり方について、取材対応が可能です
書影
■背景
2022年7月に発生した安倍晋三元首相の銃撃事件をきっかけに、「宗教2世」の実態が注目されるようになりました。宗教的な家庭環境で育った子どもが、大人になっても過去の影響に苦しみ続ける例は多数あります。
しかし、この「宗教2世」の問題が社会的に十分に理解されるようになったとは言えません。宗教2世の子どもたちは、自分が置かれた状況に疑問を持てなかったり、疑問を持っても自分で声を上げることができなかったりすることがほとんどです。虐待の側面もあるのに、周囲の大人が問題に気づきにくい状況が続いています。
子どもが声を上げられないからこそ、学校の先生など周囲の大人が問題に気付く必要があります。
<宗教2世の社会問題化の経緯>
2022年7月
安倍晋三元首相の銃撃事件を機に、宗教2世の苦しみが社会的に注目される
2022年12月
厚生労働省が宗教2世の虐待防止に関するガイドラインをまとめる
2023年~現在
宗教2世の救済・支援に関する法整備を求める動きが官民両面で進展するも、教育現場では依然として十分な認識がない状態が続く
■著者・伊藤まりの生い立ちと出版の経緯
<物心ついたときには新興宗教の信者>
著者の伊藤まりは、2歳の時に母が新興宗教を信仰し始めたため、「宗教2世」として育ちました。小さな頃から週に3回、宗教の勉強会の集まりに出席し、静かに座っていなければお尻をたたかれました。
人生の最初から宗教を植え付けられる。これがどういうことか想像できるでしょうか。
著者は「他の宗教は全部悪魔の宗教で悪いもの」「もうすぐこの世界は、ハルマゲドンという終わりを迎える」「そのとき、神を信じていない人は全員死ぬ」と本気で信じていました。
ちょうど「私たちは空気中の酸素を吸って生きています」というのと同じくらいの「真実」として、心に浸透していたのです。
<選挙ダメ、誕生日会ダメ、部活動ダメ>
学校では、教義に従って、先生に「学級委員の選挙をしたくありません」「国家や校歌の斉唱はしません」「誕生日を祝うことは、神が悲しむのでお誕生日会には参加しません」と伝えました。
放課後に部活動に参加することも、学校の友達と遊ぶことも制限されました。それが当たり前でした。
<生きることに苦痛>
常に死にたいと思っていました。教義を信じながらも、生きることに苦痛を感じていたのです。大学進学後の20歳の時、体調を大きく崩して精神科に通い始め、20代で自殺未遂も経験しました。
<信仰からの脱却>
しかしその後、教義に背く行いをし、家族や他の信者から無視される「排斥」処分を受けたことをきっかけに教義に疑問を持つようになり、信仰から目が覚めました。
現在は、臨床心理士などの資格を取得し、スクールカウンセラーとして働いています。
カウンセラーの活動をする中で、宗教2世が抱える問題が「家族の病理」として片付けられてしまうなど、社会的に理解されていない現状を痛感しています。このため、専門家でさえ理解が不十分であるならば、元当事者として伝えられることを伝える責務があると考え、今回の出版に至りました。
<宗教2世のスクールカウンセラーとして、学校の先生たちに伝えたい>
問題があるように見えない子どもが、摂食障害や不登校になったり、誕生日会や学級委員選挙に参加しなかったり、大学受験を拒んでパート勤務をしていたりしたら、その子は宗教2世かもしれません。
何らかの症状の後ろに、「信仰」が隠れていることがあります。その場合は、まずは丁寧に話を聞き、本人が安心して語れる場所を作ってあげてください。
本書に、そうすべき理由が記されています。
高校時代の著者
宗教に関連する書籍
■本書の概要
書籍タイトル : 「ちょっと気になる変わったあの子」だった
スクールカウンセラーが伝えたい宗教2世支援
著者 : 伊藤まり(まりぃ先輩)
発売日 : 3月14日
書籍ページ(Amazon) : https://amzn.asia/d/eYHI26j
販売価格 : 314円(税込)
無料キャンペーン期間: 3月14日(金)~16日(日)午後4時
※キャンペーン期間中、Amazonの書籍ページで
「0円」で入手いただけます
■内容
【はじめに 先生方にこの本を読んでほしい理由】
【1章 一つの個別事例~私の「宗教2世」としての生い立ち~】
物心ついた時から/「模範的な」小学生~高校生は、いつも死にたかった/二十歳、機能停止。精神科のお世話になる/排斥される…それまでの世界から追放されるということ
▼用語解説
禁止編(誕生日、クリスマス、バレンタイン、初詣は禁止/学級委員など含めて選挙は禁止、国旗の掲揚時に起立したり、校歌を歌うのも禁止/柔道などの格闘技禁止、徴兵制にも応じません/結婚するまでSEX禁止、信者以外のとの結婚も禁止、結婚を前提としないデートも交際も禁止、もちろん自慰行為も禁止です/大学進学は基本的に禁止、正規雇用での就職も禁止です)
生活編(放課後は学校の友達と遊ばず、クラブ活動をせず、伝道する/見てはいけないアニメや、聞いてはいけない音楽がたくさんある/週に3回地域の集まりが、年に3回大規模な集まりがあり、学校より優先です/食事の前は祈る、黙祷はしない、お焼香もしない/体罰推奨)
【2章 支援をするときに心得ておきたいこと】
「分かるよ、知り合いにもいる」は絶対NG/人生の最初から宗教を教え込まれるという「感じ」を掴む/脱会後、困らないためにしてあげられること/どこまでが「親子問題」「家庭の問題」なのか?
【3章 スクールカウンセラーになった宗教2世が伝えたいこと~当事者でもある心理職として~】
表出している症状の奥にあるものとしての「宗教」/2世がよく呈する症状/信仰しておらず、助けを求めることができる子は健康/熱心に信仰している子にできること
【宗教2世当事者の方・支援者の方へ】
とある事例検討会にて/大学院博士後期の面談をして/「分かって欲しい」の罠/だから、当事者として、カウンセラーとして訴えたい
【終わりに】
■Kindle出版
Amazonが提供するセルフ出版サービス(Kindle ダイレクト・パブリッシング)を利用し、自分の作品を電子書籍や紙の書籍(ペーパーバックと呼ばれる)として販売できる仕組み。出版社を介す必要がなく、利用が増えている。
■著者プロフィル
伊藤まり(いとうまり)
臨床心理士、公認心理師、精神保健福祉士、臨床発達心理士。1985年大阪府出身。2歳の時、母親が新興宗教の信仰を始め、宗教2世として育つ。徳島大学薬学部中退後、神戸親和女子大学通信教育部卒業。大阪樟蔭女子大学大学院臨床心理学専攻修了。スクールカウンセラーや幼稚園・保育園カウンセラー、自治体の健診事業発達検査担当心理師などを務めるかたわら、心理学などのオンライン講座を運営。著書に「がんばる支援者が豊かに生きる十一の秘訣」(キンドル版)がある。
著者近影
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