【ライブリポート】『22/7 1stアルバム「11という名の永遠の素数」リリース Tour 2021』千秋楽!涙と笑顔で駆け抜けた、ナナニジ4年半の集大成


デジタル声優アイドルグループ・22/7(ナナブンノニジュウニ)のライブツアー『22/7 1stアルバム「11という名の永遠の素数」リリース Tour 2021』が開催され、7月22日に千秋楽となる昼夜公演が東京・Zepp DiverCityで行われた。

22/7にとっては初めてのツアーとなるアルバムのリリースツアー。昨年実施する予定だった東名阪を巡るツアーの1年半越しのリベンジだ。

千秋楽の会場となったZepp DiverCityと言えば、「Birthday Event 2019」を行った地。メンバーやファンにとってもさまざまな思い出がある場所だろう。

結成から4年半が経ち、7月14日に1stアルバム「11という名の永遠の素数」をリリースした彼女たちの集大成とも言える、ライブツアー。その夜公演の模様をレポートする。

オープニングナンバーから「22/7」の世界観へと引き込む

オープニングは、OverTureに乗せてメンバーのシルエットが映し出されると、そこから一気にライブが幕を開ける。

1曲目は新曲から入るかと思ったが、セットリストのオープニングナンバーは「ロマンスの積み木」。

イントロなしでメンバーたちの歌い出しから入るこの楽曲は、ライブの始まりを告げる曲としては、グッと世界観に引き込むのに最適のナンバーだ。

そこから、「ムズイ」「シャンプーの匂いがした」とシングル楽曲を披露して、ライブでは定番の「韋駄天娘」を立て続けにパフォーマンス。

22/7は以前にほぼMCなしで全楽曲を披露するライブを行っている、MCなしでいきなり4曲、5曲と畳み掛けるようにライブをするのはもはや22/7の代名詞といっても過言ではない。

最初のMCでは、「今日はナナニジの日!笑顔で終われるようがんばります」と白沢かなえが開催日の7月22日にちなんだコメントで盛り上げた。

天城サリーは「“毎日かわいい”萌ちゃんの分まで、かわいさを届けます!」本ツアーを欠席する形になったメンバーの涼花萌にエールを送りつつ意気込みを語った。

それぞれの個性を発揮した新ユニット楽曲

次のブロックでは、「Rain of lies」や「循環バス」といった人気曲を挟みながら、アルバムに収録されているユニット新楽曲「交換条件」、「好きになるのは自由だし…」、「To goでよろしく!」を披露。

かっこよさ、かわいさ、ポップさと三者三様の個性があふれるユニット楽曲のパフォーマンスに会場はさらなる盛り上がりを見せた。

「蛍光灯再生計画」(河瀬・白沢・宮瀬)の楽曲「交換条件」では、3人が腰や足を絡め合う「交換条件ポーズ」で、前作よりも磨きがかかった妖艶さを見せつけた。

本楽曲ではさらに、卒業したリーダーでユニットメンバーだった帆風千春や、過去の楽曲を意識しているともとれる歌詞が散りばめられており、ファンはそのパフォーマンスを感慨深く見つめた。

「気の抜けたサイダー」(天城・西條)の「好きになるのは自由だし…」では、天城が「好きな人に恋人がいても関係ないよね!って楽曲です」とざっくりとした説明をするが、それが逆にこのユニットのらしさを感じさせた。

さらに「この楽曲に萌ちゃんを加えたらもっともっとかわいくなるので!早く一緒にステージに立とうね!」と天城は、このユニットには欠かせない存在である涼花について語った。西條も、普段は涼花がしているハーフアップのツインテールで彼女の存在を意識させた。

「晴れた日のベンチ」(海乃・倉岡・高辻・武田)では、前作の楽曲「半チャーハン」のように、ファンも一緒になって踊りやすいポップな振り付けが多く、メンバーも「一緒に振りをやってください!」と呼びかけ、ツアーを通してファンと一緒に育てた曲となった。

それぞれのユニット楽曲を解説したMCを挟んで、ブロックのラストを飾ったのは「タチツテトパワー」。コミカルな歌詞と力強いパフォーマンスで、ライブ中盤で会場も最高潮に盛り上がる。

ライブでは久々の「とんぼの気持ち」を披露!ソロダンスでも魅せる

立て続けに新曲「空を飛んでみよう」を披露。まるで戦隊もののヒーローソングを想起させるイントロが印象的な本楽曲をパワフルに歌唱した。

公演ごとに入れ替わるセットリストで、千秋楽夜公演では「ポニーテールは振り向かせない」、「雷鳴のDelay」そして「理解者」が披露された。

「ポニーテールは振り向かせない」は、センターを担当する宮瀬玲奈のセリフが印象的な、夏のライブにふさわしい爽やかさなサマーソング。

アプリゲームから誕生した、パンクゴシックをイメージしたユニット楽曲「雷鳴のDelay」では、帆風の穴を埋めるように各メンバーが激しいパフォーマンスを魅せた。

シングル楽曲でもある「理解者」での河瀬のセリフ部分からは、初めて新メンバーとして呼ばれ、無観客ライブが行われたこの会場で、あのときよりも成長したパフォーマンスを感じられた。

さらに、舞台が暗転しメンバーたちが一箇所に集まると、ライブではほとんど披露されることがなかった「とんぼの気持ち」が披露された。

「大人たちに言われるがままの世界に少しでも抵抗する子どもたち」という意味合いが込められたこの楽曲。天城と西條のソロダンスやコンテンポラリーな振り付けなど、それぞれのメンバーがさまざまな思いの中でパフォーマンスした。

そのままの流れで、初の11人楽曲となった4thシングル「何もしてあげられない」へと続く。悩みもがく姿を体現したかのようなサビの振り付けや、普段は穏やかな印象のある海乃のクールで高潔な佇まいにも目を奪われる。

天城サリー「きれいな思い出ばかりじゃなかった」涙に込めれた思い

このツアーを境に「22/7」の第1章が終わると2月末に行われた横浜アリーナのライブから明言されてきた。

そんな千秋楽でメンバーの天城は涙ながらに「この4年半、きれいな思い出ばかりじゃなかった」と語った。

2016年の12月に結成され4年半の月日を巡ってきた「22/7」の物語。特に天城は、彼女が演じた藤間桜と同じように、夢を追いかけてアメリカからはるばる日本にやってきた少女。

そんな彼女が感じるプレッシャーは計り知ることができないし、きっと4年半だけじゃなくそれ以前から長く悩み抜いてきた心情が、あの涙に込められていたに違いない。

それでも「まだまだ私たちは22/7としてみなさんと見たい景色、叶えたい夢がたくさんあるので、この先も応援よろしくお願いします!」と涙を拭い、力強く宣言した。

プレッシャーや悩みを抱えていたのは、当然彼女だけじゃない。

千秋楽のMCでマイクを握った、西條は「今回のツアーで“埋めなきゃいけない場所”と“空けておきたい場所”があると話してきた」と語った。

この発言は、メンバーの1人である涼花を欠いてのライブツアーだったこともあるが、2月末のライブをもってグループから離れた帆風がいなくなったことに起因する発言だ。

11人で走り抜けてきたこのグループにとって、メンバーの2人がいなくなってしまったことでパフォーマンスや歌割りが大幅に変更を余儀なくされたのだろう。

しかし、「歌割りが増えたことや、変わったところは、大好きな人のパートを任されたんだと思ってがんばりました」と儚くも、芯の強さを感じさせる発言を明かした。

引っ込み思案で自分を変えるためにアイドルになったとグループ結成時に語った西條。

横浜アリーナのライブでは、いつも帆風の陰に隠れていた自分が「これからはがんばるから見ていてほしい」と宣言していた。一回りも二回りも成長した姿をファンの前でみせた瞬間だった。

そして「今の22/7にとって必要な曲であり、みなさんに届けなければいけない曲だと思います。大切な人を思いながら歌うので、みなさんも大切な人を思いながら聞いてください」という白沢が語ると、アルバムのリード曲「ヒヤシンス」が披露された。

音楽番組やアルバムリリース記念の配信ライブなどで何度かすでに披露されてきたこの楽曲。

サビではメンバーが入れ替わりに次々とセリフが差し込まれる形で構成された前衛的な曲。残された1つの思いと、それに応える10の思い。1stシングル「僕は存在していなかった」を彷彿とさせる、両の手のひらで花を咲かせる振り付けは、まさにグループの集大成とも言える楽曲になった。

客席から沸き起こる熱いクラップのアンコールに応えるように、「風は吹いてるか?」でライブが再開。そして、ラストナンバーは「未来があるから」を真っ直ぐなまなざしで歌い、タイトルのように、これから先の「22/7」というグループの未来を感じさせる曲でライブは幕を閉じた。

終演後にはファンクラブ会員限定で、昼公演では本編でパフォーマンスされていなかった唯一のシングル表題曲「僕が持ってるものなら」が披露。さらに夜公演では、メンバーやファンからの支持も厚い、22/7を指し示す1曲「空のエメラルド」がツアーを締めくくるナンバーに選ばれた。

これまでの4年半、そして東名阪の全5公演を全力で駆け抜けた22/7。第1章の締めくくりに相応しいパフォーマンスを、ファンの前で示すことができた。

天城が涙を流してこれまでを振り返るMCがあったが、それ以上にライブ中に溢れた笑顔が彼女たちの4年半を表していると感じた千秋楽だった。

まだまだこの先の展開は明言されていないが、これからの22/7の活躍からは目が離せない

セットリスト

■ 22/7「1stアルバム『11という名の永遠の素数』リリース Tour 2021」2021年7月22日 Zepp DiverCity(TOKYO) セットリスト
01. ロマンスの積み木
02. ムズイ
03. シャンプーの匂いがした
04. 韋駄天娘
05. Rain of lies
06. 交換条件 / 蛍光灯再生計画(白沢かなえ、河瀬詩、宮瀬玲奈)
07. 好きになるのは自由だし… / 気の抜けたサイダー(西條和、天城サリー)
08. 循環バス
09. To goでよろしく! / 晴れた日のベンチ(海乃るり、倉岡水巴、高辻麗、武田愛奈)
10. タチツテトパワー
11. 空を飛んでみよう
12. ポニーテールは振り向かせない
13. 雷鳴のDelay
14. 理解者
15. 僕らの環境
16. とんぼの気持ち
17. 何もしてあげられない
18. ヒヤシンス
<アンコール>
19. 風は吹いてるか?
20. 未来があるから
<FC限定配信>
21. 空のエメラルド

写真提供:ソニー・ミュージックレーベルズ(C)22/7 PROJECT