【OIL by 美術手帖】「コミック・アブストラクション」を代表するアーティスト、水野健一郎とラッセル・モーリスによる2人展を3/12より開催

東京を拠点とするアーティスト、水野健一郎とラッセル・モーリスによる2人展「ALTERED STATE – 変更された状態 -」を、OIL by 美術手帖ギャラリー(渋谷パルコ2F)で開催。キュレーションはC.C.P.&CALM&PUNK GALLERY。

OIL by 美術手帖ギャラリーでは、3月12日(金)〜28日(月)にかけてC.C.P.とCALM&PUNK GALLERYのキュレーションによる展覧会「ALTERED STATE – 変更された状態 -」を開催いたします。
C.C.P.(CHILDHOOD, CALM & PUNK)は、2020年に安部憲行とアレキサンダー・K・エイネッターによってベルリンに設立。国際的に活躍するアーティストをベルリンに招聘するためのプロダクションです。「コミック・アブストラクション」をはじめ、さまざまなアートを追求し、アパレルブランドや出版などの表現を組み合わせたクリエイティブな取り組みを発信しています。今年1月から3月にかけて、C.C.P.は東京に滞在し、パートナーである東京のCALM&PUNK GELLRYと提携し、2つの展覧会とPOP-UPを企画。 本展はその一環として開催いたします。

  • ステートメント

この展覧会のきっかけは、水野健一郎とラッセル・モーリスが共同製作をした刊行物「ALTERED STATE」であった。このタイトルのアイデアは、2人の名前がもとになっている。英語で、2人の名前を省略し、合体すると、英国の映画監督、ケン・ラッセル(Ken Russell)になる。たくさんの作品を手掛けた彼だが、『Altered States』はサイケデリックなSF・ホラー映画の最高傑作とも言える。映画『Altered States』の邦題は『アルタード・ステーツ〜未知への挑戦〜』だが、直訳すると「変更された状態」になり、そもそもは「意識変容状態」を意味する「Altered State Of Consciousness」に由来する。
2人は共にコミック・アブストラクションを代表する作家である。
2007年にニューヨーク現代美術館(MoMA)で開催された同名の展覧会「Comic Abstraction : Image-Breaking, Image-Making」は、ポップアートの文脈からコミック表現を脱却させ、インターネット時代の新たな視覚言語としてとらえるといった趣旨であった。その後、一部のヨーロッパのアーティストたちが「Comic Abstraction」という言葉を拝借して活動するようになる。その言葉が自分たちの活動を的確に表していると感じたのだ。また、2011年にロンドンの Galleries Goldsteinで開催された「Asbestos Curtain, a new phase in Comic」展は、そのようなアーティストたちが集まった貴重な機会であった。参加者の半分はグラフィティライターもしくはその背景を持つアーティストであり、その出自からグラフィティとコミック・アブストラクションはつながっていると言える。
70年代後半に生まれたグラフィティは文字の抽象表現であったが、それだけに留まらずコミックキャラクターも表現に取り入れられるようになっていった。したがって、彼らが描くキャラクターの抽象化は70年代から脈々と続くものであり、90年代初頭から00年頃まではグラフィティライターとして活動していたモーリスは、その旗手と言える存在である。
水野健一郎の作品は日本のアニメ黄金期であった70年代後半から80年代にかけての、過去の産物となりつつある手描きアニメから着想し制作されている。水野の高い描画技術で描かれる幻覚的で断片的なナラティブを内包する作品群は、同じく70〜80年代の日本アニメーションを参照している欧米の現行コミック・アブストラクションを創作するアーティストたちから、熱狂的に支持されている。さながら、遠い東のミステリアスなコミック・アブストラクションマスターといった様相である。キャラクター性とそれが織りなす物語はアニメーション・マンガの重要な構成要素である。しかし、水野の作品群ではそれらが排除されている。たとえるならばそれは「赤いリンゴが在る」という事実に対して、赤いという情報だけを排除するようなことだとも言える。だとするなら、「赤いリンゴが在る」と言う事実だけが残り、それがどういった姿形のリンゴだったのかは誰にもわからないのだ。何が言いたいのかというと、そこにリンゴがあったという事実だけが残り、それ以外の情報をイメージのなかで再構築するのが水野の作品なのだ。
水野とモーリスは、まったく違う出自を持ちながらも、アニメーション・マンガ的な視覚言語という共通項を持ち、コミック・アブストラクションの旗のもとに相見えることになった。展覧会で発表される作品群では、複数のテーマがコミック・アブストラクションと言う名の超現実的な坩堝のなかで混ざり合っている。具体的に言うと、身体性、フォルムの変化、SFと自然、人間、生物、昆虫、そしてそれらの間に横たわるすべてのもの、そして……もちろん、1つや2つのアルタード・ステイツ(変性意識)も。

text: 安部憲行 CALM & PUNK GALLERY / C.C.P.

水野健一郎水野健一郎

ラッセル・モーリスラッセル・モーリス

  • アーティストプロフィール

水野健一郎水野健一郎

水野健一郎 Kenichiro Mizuno
1967年岐阜県生まれ。東京都在住。鳥取大学工学部社会開発システム工学科中退。バンタンデザイン研究所キャリアスクール修了。セツ・モードセミナー卒業。既視感と未視感の狭間に存在する“超時空感”を求めて、潜在的絵画体験であるTVアニメからの影響を脳内で再構築し、多様な手法を用いてアウトプット。その一方で、クラムジング及び脱印象的描画法と名付けた手法によって“表現のキワ”を追究する。映像チーム「超常現象」、美術ユニット「最高記念室」としても活動。「アウターサイド」シリーズメンバー、「得体」キュレーション、「擬似マウンテン」キュレーション。美学校講師、東北芸術工科大学非常勤講師、女子美術大学非常勤講師、京都芸術大学特別講師、マイファイ絵画実験室講師。
http://kenichiromizuno.blogspot.com/
Instagram: @kenichiromizuno

ラッセル・モーリスラッセル・モーリス

ラッセル・モーリス Russell Maurice
1975年イギリス・ニューカッスル生まれ。20年ほどロンドンで暮らした後、東京に移住。1983年、若干8歳にしてグラフィティカルチャーに接し、大きな影響を受ける。インターネット以前の時代に存在した、世界中のグラフィティライターたちが自身のグラフィティ写真を交換する為の地下ネットワークに参加。そこで手に入れた写真を使用して、グラフィティムーブメントを記録したZINEを制作した。1993年には、イギリスで初めてグラフィティをTシャツにプリントしたアパレルレーベル「The Gasface」を立ち上げ。その後、レーベルの名称を「Gasius」に変更し、Medicom、Porter、Givenchy、NIKEといったブランドとのコラボレーションも多数実施。
モーリスの現在の作品群は、アニメーションやマンガの要素と組み合わせた抽象絵画、様々なメディウムの立体作品、コラージュと少しの写真で構成されており、新たな段階に突入した「コミック・アブストラクション・ムーブメント」の触媒となる重要アーティストと言える。
Instagram: @gasius

  • 展覧会概要

作品販売について
本展出品作品の一部をオンラインでも販売いたします。ECサイト「OIL by 美術手帖」にて、3月13日(土)16:00から順次公開します。

展覧会概要
「ALTERED STATE – 変更された状態 -」curated by CALM & PUNK GALLERY and C.C.P.
会場 OIL by 美術手帖
会期 2021年3月12日(金)〜28日(月)会期中無休
レセプション 3月13日(土)19:00〜
開場時間 11:00〜20:00
※「緊急事態宣言」の発令をうけて、渋谷PARCO全館において営業時間を変更しています。
※営業時間は状況に応じて変更の可能性がございます。最新の情報は渋谷PARCO公式ウェブサイトをご確認ください。
https://shibuya.parco.jp/

住所 〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷パルコ2階
電話番号 03-6868-3064
観覧料 無料
アクセス 渋谷駅ハチ公口徒歩5分
URL https://oil-gallery.bijutsutecho.com/
Twitter @OILbyBT
Instagram @OILbyBT

〈OIL by 美術手帖について〉
これまでアートシーンの動向を伝えてきた『美術手帖』が、日本を代表するギャラリーやアートストアとともにつくる、アートのマーケットプレイスです。メディアとしてアートと社会をつなぐ役割を担ってきた『美術手帖』は、このサービスを通じて「アート作品の購入」という体験をお届けします。2019年秋に新生・渋谷パルコの2階に実店舗をオープン。〈Gallery〉〈Cafe〉〈Shelf〉という3つの機能を展開し、アート作品との出合いの場を創っています。
https://oil.bijutsutecho.com/